驚くべき子孫繁栄能力 人間には無理な相談
八月六日 晴れ
子供の頃から、蛙が大好きで、よく「可愛がって」やった。だから、ペンネイムにもした。子供のことであるから、その可愛がり方は、当の蛙にとっては真に迷惑なこれ話であったろう。
或る日、水田の深みに、大量のオタマジャクシを見つけて網で掬った。ところが網の中に蠢いていたのは、カブトガニを1/15から1/20サイズにしたような生物で、初めて見たそれは何だか気味悪く、放り捨ててしまった。
翌日、小学校の図書館で図鑑を見ると、カブトエビと書いてあった。二度目に、そいつにお目にかかったのは、カミさんが仕事をしていた本の付録である。付属の器に袋の砂を空けて、水をいれて待つ。数日経つと小さなカブトエビが泳いでいた。以後暫らく、カミさんは桜海老の類を食べられなくなった。
次に出会ったのはアリゾナ、グランドキャニオン。雨が降って1週間後、あと数日しか無いであろう水溜まりで、孵化した彼らはせっせと子孫繁栄に勤しんでいた。次の雨まで卵で耐えるのだ。野生とは斯くも逞しい。
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