2004.1.20 |
僕は、20歳になったばかりの1970年、二月から東京・練馬の猪まんがスタジオで、2年間働いていました。その後も、独立(我々の間では「卒業」といってましたが)してからも、スタジオの二階に住んでいました。その間、殆ど毎日(ときには、昼夜二回)飯を食べに行ってたのが、近所の大衆食堂「かすが」でした。とくに、というか僕は殆ど以下の3種類しか食べませんでしたが、廉くてンマくて、腹一杯になる「かすが」は、我々貧乏漫画家(の卵)にはありがたい存在でした。 |
しかし、現在の住所に引っ越してからは、滅多に寄ることもなくなってしまいました。開いている時間で、飯時に丁度通ることが無かったからでもありました。 |
それでも、2年くらい前に、久しぶりに寄ったら、前と変わらぬ様子で、味もそのままだったし嬉しかったです。それからはときどき寄って、相変わらず同じメニュウを食べていました。 |
そのメニュウとは、広東麺と中華丼、そしてカレーそばです。 |
カレーそばは、和蕎麦屋さんのカレー蕎麦ではなく、「かすが」は中華食堂と銘打ってあるので(勿論普通に、和食、というか家庭料理かな、鯖の味噌煮や肉じゃがなどもあります)、言わばカレーラーメンなんです。それも、汁がサラサラではなく、ややドロッとした、カレールゥの感じが残ったもので、これが好きなんです。黒板のメニュウに「カーレそば」と書いてあったのもなんだかほのぼのとして、好きでした。 |
今月の20日の夜帰宅する時、なんだか頭に「かすが」の文字が浮かんできて、練馬に近づくにつれて「開いてたら、かすがに寄る」という考えで一杯になってしまいました。通りかかったら、幸いにも未だ開いていたので、早速、広東麺を注文。 |
すると、おばちゃんが「今日来てくれて良かった」というではないですか。何故と訊くと「今日で閉店なの」との答え。ショックですが、よく訊いてみると、改築の為に「休店」とのことで、一安心。 |
虫が知らせるというのは、きっとこういうことなんでしょう。胸をなで下ろしつつ帰路につきました。 |
7月に新装開店の予定とのことで、楽しみです。 |
|