家庭用カメラ、というと何だかよく判らない分類ではあるが、ライカなどのようなレンズ交換式の距離計連動カメラや各種一眼レフのように、少し(もしくはかなり)カメラに興味がある人、またはプロのカメラマンが使うシステムカメラではなく、ごく普通のお父さんが家族の記念写真を撮るためのカメラである。余計、意味不明になってしまったかもしれないけれども、現在では一般にコムパクトカメラなどとも呼ばれている。 こういうカメラはお国柄がよく現れていて、アメリカ製は簡便な構造、ドイツ製は凝った仕掛けや高性能レンズといった具合だ。日本製の場合、現在では正しくコムパクトで、自動露出に自動焦点は当たり前。しかし、一方では固定焦点に定速シャッターのレンズ付きフィルムが全盛でもある。 フィルムの性能が大幅に向上したおかげで、レンズ付きフィルムでもよく写るし、撮影画面が小さいAPSでも充分に写る。昔のハーフサイズカメラがまた見直されてもいる。しかし、35mmフルサイズ(本当は映画用のフィルムを使うライカから始まったので、ライカがダブルサイズであり、ハーフ判はフルサイズと呼ぶべきかもしれぬ)で、コムパクトなボディも魅力的だ。 そんなカメラの先駈けがローライ35であった。沈胴式のテッサーレンズを装着して、これ以上小さくするのは無理なほど小型化されていた。独逸生れのこのカメラは、後にシンガポール工場で製造され、レンズもゾナーを始め数種類のヴァリエイションが売り出された。 |
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