工具は良い物ほど作業が捗るし、相手を傷つけない。だから、弘法は筆を選ばずとも、我々は道具を選ぶべきなのである。 例えば、ナットやボルトを緩めたり締めたりするときに、頭のサイズに合わせた寸法のスパナを使うのは、当たり前のこれは話だ。 しかし、ドライヴァーをネジの頭のミゾに合わせて使う人は、何故か少ない。勿論、プロの整備士さんや修理屋さんは、けして異なったサイズのドライヴァーで横着なことはしない。 頭のミゾが1本のマイナスネジの場合、ミゾ幅より厚いドライヴァーは入らないけれども、薄いドライヴァーは入る。だが、薄いドライヴァーやミゾ長よりも幅の狭いドライヴァーを使うと、力を加えたときにミゾを傷めてしまう。 そして、プラスネジの場合はもっと深刻な状況を招き、簡単にプラスのミゾを皿状にしてしまう。 この、工具が滑ってネジの角や溝を変形させてしまうことを「ナメる」というが、ドライヴァーがナメたときは、スパナがネジの六角頭をナメた時よりも、ネジに対するダメイジが大きいことを覚えておいて欲しい。 小さな物を相手にするときほど、そういうことに気を遣うべきであり、道具も選ばなくてはならないのである。最も小さくて優秀な工具は、時計用の工具かもしれない。 そこで、僕の愛用でもあり、イチ押しのドライヴァーは、PBバウマンの製品だ。スイス製のこいつは、赤いプラスチックハンドル(何故か、これが臭いのである)の美しい逸品でもある。 |
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