ゴーグルに書かなかったことをひとつ書いておくと、そのエナの店主は何にでも凝り性で、その懲り方が半端じゃない。いや、尋常ではないと言っても、あながち間違いとはこれは言えない。その一端を紹介すると、例えばスピーカーの自作。ユニットを買って来て箱を作るのではない。メイカーにお願いしてマグネットを造るところから始まるのだ。特性の良い一対のマグネットが出来るまで、何度でも作らせる。そして、出来上がったそれを、おそらくユニットのフレイムなどはメイカー製のものを流用したのではないかと想像しているが、確認はしていない。今度お会いしたときに詳しく聞いてみようと思う。そのスピーカーの音を僕は通い初めてすぐの頃に聞かせてもらったが、はっきりいって10cmのフルレインジユニットを、丁度入るくらいの小さな密閉箱に納めた物とは思えない豊かなものだった。 |
また、新しい物好きな(要するに好奇心旺盛なのだ)彼は、ポリプロピレンのコーンのスピーカーが登場すると、もう店に入っているという素早い行動もする。しかも、10セット(10個ではない)だったか取り寄せて、一晩中一定間隔で三角波を流す。すると、一晩でコーン紙とエッジのエイジングが終わると言うのだ。そして、全ての特性をチェックして、特性の揃ったのを組み合わせてセットにする。勿論その中の最も良かった組み合わせが手元に残るのである。 |
このふたつのエピソードだけでも、尋常ではない彼の一端が判ってもらえると思う。今回会えなかったのが残念だが、また次回の楽しみとしておこう。この日は、夕方に川野さんにバイクをお返しして、我が家にて一泊。翌日はTIサーキットに行き、アプリリアとの極めて楽しい一日を過ごした。アプリリアの試乗については、別項とするのでそちらを待たれたい。 |